FITINSIGHT導入事例インタビュー 西別府病院様編
- isana.net
- 5月28日
- 読了時間: 7分
更新日:5月30日
はじめに
こんにちは!今回は、2024年にFITINSIGHTをご利用いただいた国立病院機構西別府病院スポーツ医学センターの松田貴雄医師・宮崎奈美様にFITINSIGHT導入事例についてインタビューさせていただいた内容をご紹介いたします!
西別府病院様は、夏休み期間中の児童・生徒約20名を対象に、Fitbitを用いて温泉入浴が睡眠や自律神経に及ぼす影響を調査されました。この調査は温泉への入浴が睡眠の質の改善につながる可能性を探り、温泉離れが進む若者に対して温泉の魅力をアピールすることを目的として実施されました。この調査にFITINSIGHTをご活用していただきました。
FITINSIGHTとは
弊社のサービスであるFITINSIGHTについてご紹介します。
FITINSIGHTは、Fitbitで計測された多数のユーザのデータを一元管理して保存・出力できるサブスクリプションサービスです。Fitbitは睡眠をはじめとするヘルスデータに強いウェアラブル端末であり、簡単に睡眠や歩数、心拍数など健康に関するデータを計測できます。
FitbitをFITINSIGHTと連携することで、多種多様なデータを一元的に管理し、お客様ごとに必要なデータを必要な形式で出力できます。
今回の調査では以下のシステムをご提供いたしました。

FITINSIGHT導入事例インタビュー
[インタビューにご協力いただいた方々]
松田 貴雄医師: 国立病院機構西別府病院 順天堂大学医学部 客員教授。今回のご研究を主導された。
宮崎 奈美様: 西別府病院の事務として松田医師をサポートされている。
研究テーマについて
ー改めて今回の研究の内容と背景について教えて下さい
松田医師:
今回の研究は、別府市からの委託事業で、温泉に入ることが人々の睡眠に与える影響を調査しました。
別府温泉には熱いお風呂とぬるいお風呂の2種類があり、一般的には熱いお風呂は健康に良くないと思われがちです。しかし、私たちは温泉入浴が睡眠の質(特に寝付きの部分)を向上させるのではないかと考え、その効果を科学的に検証することにしました。特に、睡眠の深さと自律神経(交感神経と副交感神経のバランス)の関係に着目しました。今までは実際の睡眠の状況を把握しようとすると体温や脳波を計測しなくてはなりませんでしたが、今ではFitbitといったウェアラブル端末で簡単に計測できることがわかっていたため、今回の調査ではFitbitを用いてデータを収集しました。
また、別府にはせっかく身近に温泉があるにも関わらず、若い世代の温泉離れが進んでいるという課題がありました。そこで、温泉に入ることで得られる具体的な効果を数値化し、若い世代にも温泉の魅力を伝えたいと考えました。

FITINSIGHTの導入経緯と選んだ理由
ーFITINSIGHTを知ったきっかけについて教えて下さい
松田医師:
Fitbitで自律神経のデータを取得できることは以前から知っていましたが、具体的なデータ抽出方法が不明でした。そこで、複数の企業に問い合わせ、コストやデータ抽出の自由度などを比較検討した結果、FITINSIGHTを導入するにいたりました。
ーFITINSIGHTを採用した決め手は何でしょうか
松田医師:
FITINSIGHTにした決め手は、必要なデータを抽出できる点でした。他社の製品では、ストレスレベルなどの解析結果しか得られない場合が多いのですが、FITINSIGHTでは生データに近い形でデータを出力できるため、詳細な分析が可能だと判断しました。具体的には、Excelで扱える形式でデータを出力できる点が、私たちの要望に合致していました。
研究におけるFITINSIGHTの活用方法
ー 研究において、FITINSIGHTをどのように利用されましたか
松田医師:
FITINSIGHTから出力された睡眠データと自律神経に関するデータを解析に利用しました。データは一定間隔で記録されており、必要なデータを抽出して解析を行うことができました。
ー 特に役に立ったポイントがあれば教えて下さい
松田医師:
FITINSIGHTは、データが一覧で表示されるため、非常に扱いやすかったです。また、Excel形式でデータを出力できるため、研究に必要なデータを容易に把握し、解析に活用できました。

ご研究の成果について
ー今回の研究で得られた成果について詳しく教えて下さい
松田医師:
今回の研究では、温泉に入ることが睡眠に良い影響を与えるという明確な結論を得ることはできませんでした。研究の期間が限られており、経時比較(夏場と冬場での比較、温泉に入る時と入らない時の比較等)を十分に行うことができなかったためです。
しかし、安静時心拍数が高い被験者の中に、何らかのストレスを抱えている可能性のある人がいることが示唆されました。これは、Fitbitを用いたデータが、被験者の精神的な状態を把握するためのツールとして活用できる可能性を示唆しています。
ーFITINSIGHTを導入することでどのような効果がありましたか?
松田医師:
FITINSIGHTを導入したことで、睡眠と自律神経に関するデータを効率的に取得し、解析に利用することができました。また、今回の研究を通して、Fitbitのデータを活用することで、客観的なストレスチェックを行うことができる可能性を見出すことができました。
FITINSIGHTの評価
ーFITINSIGHTの総合的な評価についてお聞かせください
宮崎様:
この質問には、実際にFITINSIGHTを操作していた宮崎が回答します。FITINSIGHTのインターフェースはシンプルで使いやすく、データのダウンロードも簡単に行えました。ほしいデータがきっちりダウンロードできたので、全体的な機能としては満足しています!
ー今後期待する機能(こんなアップデートがあったら嬉しい!等)や改善点について教えて下さい
宮崎様:
データ取得スパンを1分など、より細かく設定できるようになると、生データとしての価値が高まると思います。また、特定の被験者や期間を指定できる機能があると、さらに便利になると思いました。

ー宮崎様はLookerStudio[注1]も使用されたかと思いますが、いかがでしたか
宮崎様:
LookerStudioは、データの可視化ツールとしては優れていると感じました。また、ITなどに関する特別な知識がない人でも比較的簡単に操作できると感じました。ただ、データの種類やデザインの自由度に制限があると感じる場面があったため、今後はより詳細なグラフ作成や、他のグラフツールとの連携などが可能になると、研究発表などで活用しやすくなると思います。
[注1]LookerStudio: Googleが提供する無料のデータ分析ツールです。FITINSIGHT-BIを使用すれば、複数のFitbitから取得したデータをLookerStudioにつなぎこみ、グラフや表など自由な形で可視化することが可能です。以下の画像はFITINSIGHT-BIでご提供できるレポートの一例です。

今後の展望について
ー今後の研究の展望について教えて下さい
松田医師:
現在は研究資金の状況から、具体的な計画はまだありません。しかし、今後研究資金を確保できた際には、今回の研究を発展させ、新たな視点から社会に貢献できる研究に取り組みたいと考えています。
具体的には、Fitbitを用いて得られた自律神経のデータを、個人の主観的な症状だけでなく、客観的な指標として活用することを目指しています。例えば、女性管理職を対象とした研究では、月経前の症状の客観的な評価方法を確立することで、より適切な健康管理やサポートが可能になるかもしれません。
まとめ
今回は、西別府病院様のご研究におけるFITINSIGHTの活用事例をインタビュー形式でご紹介しました。
研究では温泉入浴が睡眠に良い影響を与えるという明確な結論は得られなかったものの、Fitbitから取得できる安静時心拍といった自律神経に関するデータは、被験者のストレス状態を客観的に計測する指標として有効である可能性を見出すことができました。
この記事を読んでFITINSIGHTにご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください!
おわりに
この度はお忙しいところインタビューにご協力いただきました西別府病院の松田医師、宮崎様には心より感謝申しあげます。今後のご活躍を心よりお祈りしております!
プロフィール

松田貴雄医師
昭和63年 | 大分医科大学医学部医学科卒業 |
平成4年 | 大分医科大学大学院博士課程生化学系専攻卒業 |
平成4年 | 九州大学生体防御医学研究所生殖内分泌婦人科医員 |
平成8年 | 日本学術振興会特別研究員 |
平成10年 | 九州大学生体防御医学研究所生殖内分泌婦人科助手 |
平成17年 | 国立病院機構西別府病院婦人科医長(臨床研究部長併任)現職 |
平成22年 | 国立病院機構西別府病院スポーツ医学センター長併任 現職 |
令和2年 | 九州大学病院別府病院外科臨床指導教授(~令和4年度) |
令和6年 | 順天堂大学医学部産婦人科学講座客員教授 |