【FITINSIGHT導入事例】東京医科大学様 ── 2型糖尿病患者への運動介入研究での活用
ウェアラブルデバイスのデータを研究・臨床の現場で活用できる形に整える、イサナドットネットのデータ管理サービス「FITINSIGHT」。2025年1月より約1年半にわたりご利用いただいた東京医科大学 公衆衛生学分野 准教授の高宮朋子先生に、2型糖尿病患者さんへの運動介入研究での活用についてお話を伺いました。
研究の概要
今回FITINSIGHTを活用されたのは、2型糖尿病の患者様に対するスタティックストレッチング運動の推奨が、血糖および身体活動量に与える効果を検討する研究です。
介入期には、理学療法士の協力のもとに作成された10種類のスタティックストレッチング運動動画(四肢・体幹を含む各1〜2分)を用いて、外来医師が8週間毎日の実施を推奨。
評価項目は、持続血糖測定(FreeStyleリブレPro)、総活動量(オムロン活動量計)、そして睡眠効率(Fitbit Versa 4)で、Fitbitのデータは参加者の同意を得てFITINSIGHT上で取得されました。
研究には糖尿病・代謝・内分泌内科の医師4名と公衆衛生学分野の医師2名が携わりました。Fitbit Versa 4は外来の場で配布され、メールの設定やアプリのインストール・同期は糖尿病・代謝・内分泌内科の医師2名がサポートされました。

研究で得られた成果
本研究では、参加された患者様のご負担は少なく、Fitbitによる睡眠データをFITINSIGHTを用いて継続して取得することができました。
こうして得られた睡眠データの結果は、日本糖尿病学会年次学術集会でのポスター発表においても、実際の結果として提示されました。
研究の現場で感じられたこと
Q. 高宮先生の研究では、何名の患者さんのデータをFITINSIGHTで取得されたのでしょうか。
最終的に2名でした。年齢は、いわゆる働き盛りの年齢よりは少し上という方々です。
Q. これまで用いてこられた加速度計と比べて、Fitbitを使ったことで良かった点はどのようなところでしょうか。
長い時間装着時間いただけたことです。加速度計の場合、1日の中で装着できない時間が生じますが、Fitbitの場合はかなり24時間に近い形で装着いただけた、というところが良いところだったのではないかと思います。
Q. Fitbitで取得されたデータの精度について、高宮先生はどのように評価されていますか。
測定の精度は加速度計でより妥当性が検証されていますが、今回の研究のように個人の変化を捉えるのであれば使用可能だと考えています。
Q. 数ある方法の中で、なぜFITINSIGHTの導入を決められたのでしょうか。
Fitbitのデータを、研究参加者にご負担をおかけしないで研究者が取得するためです。Fitbitのデータは利用者自身で取得できる仕組みになっていますが、今回は慌ただしい臨床の場での研究で、患者様にご参加いただくため、データの取得を外からサポートできるということでFITINSIGHTの利用を決めました。
Q. FITINSIGHT導入前に期待されていた効果と、実際に使ってから得られた効果に、ギャップはありましたか。
期待した通りでした。現場の臨床の先生がFitbitを設定し、データを入手できるところまで想定どおりに運びました。
Q. FITINSIGHTのレポートについて、患者さんの反応はいかがでしたか。
レポート自体は見やすく、患者様にも好評でした。
Q. FITINSIGHTをご利用にならなかった場合と比べて、ご担当の先生方の作業負担はどのように変わったと感じられますか。
今回は研究参加人数が少なかったのですが、参加人数が多い場合には、メリットは大きいと思います。
Q. FITINSIGHTのセットアップについて、臨床スタッフの方のご負担はいかがでしたか。
スムーズにできたと思います。
学会発表での活用
本研究は、2026年5月に開催された第69回日本糖尿病学会年次学術集会において、「シングルケースデザインを用いた2型糖尿病患者に対するスタティックストレッチング運動推奨の血糖及び身体活動量への効果の検討」としてデジタルポスター形式で発表されました。
Q. 学会発表では、FITINSIGHTで取得されたデータをどのように活用されましたか。
睡眠データの推移としてお示ししました。発表の中で、FITINSIGHTから取得できた睡眠のデータを、推移の形で提示しています。
改善へのご要望
Q. FITINSIGHTのレポート(Data Studio)について、「レポートに手を加えるのが難しかった」とご回答いただきました。どのような点でしょうか。
レポートの表示を自分で変更しようとしたときに、操作が分からなかったという点です。
テンプレートをいくつかモデルのような形で提供いただいたり、「これを示すにはここを押してこうする」というマニュアルがいろいろあると、色々な方が使いやすいかもしれないと思いました。最近は皆さんマニュアル動画もよくご覧になっているので、動画をご用意いただいてもいいのかなと思います。

こんなデータが取れたら ── 研究者からの期待
Q. 今後、FITINSIGHTでこういうデータが取れたら嬉しい、こういうシステムがあったら役立つのに、というものはありますか。
データの信頼性を裏づける情報と、環境情報との組み合わせです。取得したデータを解釈するときに、データの信頼性を高めるために必要な情報 ── Fitbitで言えば装着時間 ── を、データの中から推定して出していただけるといいと思います。
それから、測定日の気温など、公開されている環境情報があると思うのですが、データを納品していただくときにそれも一緒にいただけるとよいかもしれません。 日照時間なども、北海道と沖縄ではやはり違いがあると思いますし、研究を行った場所の公開情報を一緒につけて納品できるということであれば、ある研究者にとっては有用な情報なのではないかと思います。
特にFitbitには自律神経関連の評価指標などがあるため、気象情報や台風情報 ──台風時の頭痛などがありますが ── 気象の情報と絡めたデータも一緒に提供できると良いのではないかと思います。
今後の展望
Q. 今後、同様の研究に取り組まれる機会があれば、FITINSIGHTのようなツールをご活用いただける余地はありますか。
今回研究を担当された医師は、糖尿病の患者様だけでなく肥満の患者様も診ていらっしゃることから、同様にFitbitを用いた評価・運動介入が肥満症でもできるのではないか、というお話をいただいています。
今回いただいたご指摘は、いずれもFITINSIGHTの今後の改善に活かしてまいります。 高宮先生、貴重なお話をありがとうございました。
高宮 朋子 先生 略歴
1995年 | 東京医科大学卒業、医師免許取得 |
1999-2001年 | 東京都健康推進財団健康づくり推進センター医学指導主査 |
2000年 | 東京医科大学大学院医学博士取得 |
2001-2003年 | 厚生労働省健康局生活習慣病対策室室長補佐 |
2019年 | 東京医科大学医学部 公衆衛生学分野 准教授、現在に至る |
ご研究でのウェアラブルデータ活用をご検討の際は、企画段階からご相談いただけますと、ご予算やスケジュールに合わせたご提案が可能です。どうぞお気軽にお問い合わせください。



